非城識人ノート

日本の城、中世史、読書、思いつき…など

2021-01-01から1年間の記事一覧

今年読んだ本2021

今週のお題「買ってよかった2021」 今年刊行された本 やっぱり中公新書 ジェンダーを考える 最近の城本 積読解消 洋泉社歴史新書y 中世考古 戦国大名を考える 今年の反省 今年読んだ中公新書3冊2021年も残りわずかです。今年最後のエントリでは、今年読み終…

勝手に博物館展覧会アワード2021

今年訪れた特別展・企画展 総評 展示テーマ部門 図録部門 大賞 2021年も残りわずかとなりました。今年も博物館が臨時休館となったり、特別展・企画展の会期が変更・短縮されたりするなど、まだまだコロナ禍の影響が大きい一年でした。その一方で、博物館では…

齋藤慎一著『江戸 平安時代から家康の建設へ』(中公新書、2021年)

齋藤慎一著『江戸 平安時代から家康の建設へ』(中公新書、2021年)読了。 「江戸の変遷を中世から連続して考える」という視点から家康の江戸入城と城下建設を再評価する一冊。 齋藤慎一著『江戸 平安時代から家康の建設へ』(中公新書、2021年) 概要と感想 本書…

加藤理文著『家康と家臣団の城』(角川選書、2021年)

加藤理文著『家康と家臣団の城』(角川選書、2021年)、読了。 織田・豊臣の城とは異なる、徳川家康やその家臣団の城の特徴をまとめ、幕府や徳川家臣団がどのような城づくりを目指していたのかを明らかにすう一冊。 加藤理文著『家康と家臣団の城』(角川選書、…

中世武士目黒氏の軌跡 列島を駆け抜けた武士たち@めぐろ歴史資料館

先日、めぐろ歴史資料館にて行われた特別展「中世武士目黒氏の軌跡―列島を駆け抜けた武士たち―」を拝観しました。 本展ポスターめぐろ歴史資料館入口 本展は、目黒区ゆかりの武士目黒氏の日本列島における活動を追う展示でした。目黒氏は現在の目黒区にあた…

戦国時代の漆器 出土品からみた漆器の様相@葛飾区郷土と天文の博物館

先日、葛飾区郷土と天文の博物館にて行われた特別展「戦国時代の漆器―出土品からみた漆器の様相―」を拝観しました。 本展ポスター葛飾区郷土と天文の博物館 本展は、中世以降諸階層に広く食器として使用された漆器について、葛飾区の葛西城にて出土した戦国…

祈念の島 中世文書にみる江島弁才天信仰@藤沢市文書館

先日、藤沢市文書館にて行われた収蔵資料展「祈念の島―中世文書にみる江島弁才天信仰―」を拝観しました。 本展ポスター藤沢市文書館 本展では、古河公方や戦国大名北条家・徳川将軍家など、中世においても人々の信仰を集めた江の島の様相を、彼らの中世文書…

よみがえる中世のアーカイブズ@神奈川県立金沢文庫

先日、神奈川県立金沢文庫にて行われた特別展「よみがえる中世のアーカイブズ いまふたたび出会う古文書たち」を拝観しました。 本展ポスター神奈川県立金沢文庫 金沢文庫は、鎌倉幕府執権北条氏の一族である金沢北条氏の北条実時が、菩提寺である称名寺に隣…

早雲寺 戦国大名北条氏の遺産と系譜@神奈川県立歴史博物館

先日、神奈川県立歴史博物館にて行われた特別展「早雲寺 戦国大名北条氏の遺産と系譜」を拝観しました。 本展ポスター神奈川県立歴史博物館 本展は、早雲寺開基500年を記念した特別展で、戦国大名北条氏の菩提寺である早雲寺の寺宝・資料を展示し、北条氏一…

中遠の古刹 真言宗西楽寺Ⅲ 年中行事@袋井市郷土資料館

先日、静岡県袋井市郷土資料館にて行われた企画展「中遠の古刹真言宗西楽寺Ⅲ年中行事」を拝観しました。 本展ポスター袋井市郷土資料館 袋井市春岡の古刹西楽寺が所蔵する古文書から、寺史を解説する全4回シリーズの企画展。今回拝観した第3回のテーマは「年…

国立歴史民俗博物館監修・「性差の日本史」展示プロジェクト編『新書版 性差の日本史』(集英社インターナショナル新書、2021年)

国立歴史民俗博物館監修・「性差の日本史」展示プロジェクト編『新書版 性差の日本史』(集英社インターナショナル新書、2021年)、読了。2020年秋、国立歴史民俗博物館にて開催された企画展示「性差の日本史」の見どころを図版とともに紹介する1冊。 国立歴史…

天野忠幸著『三好一族―戦国最初の「天下人」』(中公新書、2021年)

天野忠幸著『三好一族―戦国最初の「天下人」』(中公新書、2021年)、読了。 戦国時代初期に畿内に進出し、足利将軍家や細川氏と渡り合い、信長の上洛以前に将軍家の権威に拠らない政権を樹立した三好一族の興亡を叙述した一冊。 天野忠幸著『三好一族―戦国最…

伊藤俊一著『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』(中公新書、2021年)

伊藤俊一著『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱まで』(中公新書、2021年)、読了。 日本の中世社会の根幹を形成した荘園制について、荘園研究の成果を反映して、誕生から解体までの約750年の歴史を叙述する一冊。 伊藤俊一著『荘園 墾田永年私財法から応仁の乱…

浅野晴樹著『中世考古〈やきもの〉ガイドブック 中世やきものの世界』(新泉社、2020年)

浅野晴樹著『中世考古〈やきもの〉ガイドブック 中世やきものの世界』(新泉社、2020年)、読了。中世の遺跡から発掘された“やきもの”を、考古学の視点から紹介・解説する一冊。 浅野晴樹著『中世考古〈やきもの〉ガイドブック 中世やきものの世界』(新泉社、2…

戦国の比企 境目の城@埼玉県立嵐山史跡の博物館

企画展「戦国の比企 境目の城」は、令和2年(2020)12月5日~令和3年(2021)2月14日を会期としていた展示でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、令和2年12月23日から臨時休館となってしまい、そのまま会期が終了してしまった展示でした。ブログ主…

戦国武将の書状展@上田市立博物館

先日、長野県上田市立博物館にて行われた特別企画展「戦国武将の書状展」を拝観しました。 同展ポスター 本展は、県外収集家による古文書コレクションから、真田昌幸・信繁(幸村)、織田信長、豊臣秀吉・秀頼、石田三成、徳川家康、直江兼続、伊達政宗といっ…

実相 忍びの者@埼玉県立嵐山史跡の博物館

先日、埼玉県立嵐山史跡の博物館にて行われていた企画展「実相 忍びの者」を拝観しました。 埼玉県立嵐山史跡の博物館 本展は、忍者・忍びが最も活躍した戦国時代の一次史料を集めてその役割や性状を整理し、彼らの活躍の具体的な姿を明らかにする展示でした…

黒田基樹著『北条氏康の家臣団 戦国「関東王国」を支えた一門・家老たち』(洋泉社歴史新書y、2018年)

黒田基樹著『北条氏康の家臣団 戦国「関東王国」を支えた一門・家老たち』(洋泉社歴史新書y、2018年)、読了。戦国大名北条家3代当主、北条氏康が当主となってから死去するまでの約30年を対象に、氏康・氏政を支えた一門・家老に焦点をあてて、北条家の政治・…

難波田氏とその時代@富士見市立難波田城資料館

先日、埼玉県の富士見市立難波田城資料館にて行われていた企画展「難波田氏とその時代」を拝観しました。 同展の看板難波田城資料館 本展は、800年前の承久の乱(1221年)がきっかけで成立したとされる埼玉県富士見市を代表する中世武士・難波田氏について、そ…

長沼氏から皆川氏へ 皆川文書でたどるその足跡@栃木県立博物館

先日、栃木県立博物館にて行われていたテーマ展「承久の乱800周年記念 長沼氏から皆川氏へ 皆川文書でたどるその足跡」を拝観しました。 同展ポスター栃木県立博物館 本展は、承久の乱(1221年)から800周年を記念し、承久の乱にて幕府軍として功績を挙げた下…

日本史史料研究会監修・平野明夫編『家康研究の最前線 ここまでわかった「東照神君」の実像』(洋泉社歴史新書y、2016年)

日本史史料研究会監修・平野明夫編『家康研究の最前線 ここまでわかった「東照神君」の実像』(洋泉社歴史新書y、2016年)読了。 家康研究における論点を端的にまとめ、最新の研究状況をわかりやすく叙述した1冊。 日本史史料研究会監修・平野明夫編『家康研究…

千々和到著『板碑と石塔の祈り』(山川出版社日本史リブレット、2007年)

千々和到著『板碑と石塔の祈り』(山川出版社日本史リブレット、2007年)読了。 日本の中世に各地につくられた五輪塔・宝篋印塔や板碑などの石塔が、どのような意味を持ち、地域において如何にして存在し続けたのかを叙述する1冊。 千々和到著『板碑と石塔の祈…

日本史史料研究会編『秀吉研究の最前線 ここまでわかった「天下人」の実像』(洋泉社歴史新書y、2015年)

日本史史料研究会編『秀吉研究の最前線 ここまでわかった「天下人」の実像』(洋泉社歴史新書y、2015年)読了。 秀吉の政策として著名な「太閤検地」「朝鮮出兵」「キリスト教禁止」などや、あまり知られていない秀吉と武家官位や朝廷の問題、また秀吉の出自に…

西股総生著『パーツから考える戦国期城郭論』(ワン・パブリッシング、2021)

西股総生著『パーツから考える戦国期城郭論』(ワン・パブリッシング、2021)読了。 戦国時代の城郭を構成する、空堀・土塁・切岸・虎口・曲輪などのパーツを個別に取り上げ、形態や機能とその変化について、実戦での使用にも即して解説する1冊。 西股総生著『パーツか…

築城の故実

有職故実とは、公家や武家の儀礼・官職・制度・服飾・法令・軍陣などの先例・典故をいう。 武家の故実には、出陣祝や首実検、陣幕の打ち方や御旗の前の通り方、鬨の声などの様々な故実・習俗が故実書に記されている。特に出陣に際しては、方位に関しては北、…

日本史史料研究会編『信長研究の最前線 ここまでわかった「革命者」の実像』(洋泉社歴史新書y、2014年)

日本史史料研究会編『信長研究の最前線 ここまでわかった「革命者」の実像』(洋泉社歴史新書y、2014年)読了。 近年の織田信長研究についての14項目のテーマから、従来の信長像との認識差を明らかにする1冊。 日本史史料研究会編『信長研究の最前線』(歴史新書y…

村井良介著『戦国大名論 暴力と法と権力』(講談社選書メチエ、2015年)

村井良介著『戦国大名論 暴力と法と権力』(講談社選書メチエ、2015年)読了。 戦国時代における暴力と法といった権力論の課題から、戦国大名という規定やその特質を明らかにする1冊。 村井良介著『戦国大名論 暴力と法と権力』(講談社選書メチエ) 概要と感想 …

黒田基樹著『戦国関東の覇権戦争 北条氏VS関東管領・上杉氏55年の戦い』(洋泉社歴史新書y、2011年)

黒田基樹著『戦国関東の覇権戦争 北条氏VS関東管領・上杉氏55年の戦い』(洋泉社歴史新書y、2011年)読了。 伊勢宗瑞の関東進出から上杉謙信が死去するまで、関東支配の正当性をめぐって争った北条氏と上杉氏の争いを中心に、戦国期関東の政治世界を叙述する1…

仁木宏著『戦国時代、村と町のかたち』(山川出版社日本史リブレット、2004年)

仁木宏著『戦国時代、村と町のかたち』(山川出版社日本史リブレット、2004年)読了。 山城国西岡地域と同国大山崎を舞台に、村と町における土豪や連帯組織が、室町後期・戦国時代にかけてどのように社会的に存在したのか、残された文書をもとに追う1冊。 仁木…

石神井城 中世豊島氏ここにあり@練馬区立石神井公園ふるさと文化館

先日、練馬区石神井公園ふるさと文化館にて行われている企画展「石神井城 中世豊島氏ここにあり」を拝観しました。 企画展ポスター練馬区立石神井公園ふるさと文化館本展では、練馬区石神井公園内にある東京都指定史跡石神井城について、その歴史や新たに区…