非城識人ノート

日本の城、中世史、読書、思いつき…など

勝手に博物館展覧会アワード2021

 2021年も残りわずかとなりました。今年も博物館が臨時休館となったり、特別展・企画展の会期が変更・短縮されたりするなど、まだまだコロナ禍の影響が大きい一年でした。その一方で、博物館では来館者の安全のため、様々な感染対策が施されており、博物館関係者の皆様のご尽力により、楽しく博物館を利用することもできました。来年は、もっと博物館に訪れやすいような状況になっていることを願うばかりです。

今年訪れた特別展・企画展

 今年訪問した博物館の特別展・企画展のうち、本ブログで掲載したものは、以下の17件でした。

〈東京都〉
石神井城 中世豊島氏ここにあり@練馬区石神井公園ふるさと文化館
すぎなみの地域史4杉並@杉並区立郷土博物館
武蔵野の中世@武蔵野ふるさと歴史館
戦国時代の漆器 出土品からみた漆器の様相@葛飾区郷土と天文の博物館
中世武士目黒氏の軌跡 列島を駆け抜けた武士たち@めぐろ歴史資料館

〈埼玉県〉
戦国の比企 境目の城@埼玉県立嵐山史跡の博物館
実相 忍びの者@埼玉県立嵐山史跡の博物館
難波田氏とその時代@富士見市立難波田城資料館

〈神奈川県〉
祈念の島 中世文書にみる江島弁才天信仰@藤沢市文書館
よみがえる中世のアーカイブズ いまふたたび出会う古文書たち@神奈川県立金沢文庫
早雲寺 戦国大名北条氏の遺産と系譜@神奈川県立歴史博物館
戦国時代の鎌倉@鎌倉歴史文化交流館

〈栃木県〉
長沼氏から皆川氏へ 皆川文書でたどるその足跡@栃木県立博物館

静岡県
中遠の古刹 真言宗西楽寺Ⅲ 年中行事@袋井市郷土資料館
寺社からたどる戦国の焼津@焼津市歴史民俗資料館
駿河の南北朝動乱展@藤枝市郷土博物館・文学館

〈長野県〉
戦国武将の書状展@上田市立博物館

総評

 今年もブログ主の趣味に任せて、日本中世史に関わる企画展を中心に訪問していました。今年は承久の乱(1221年)から800年にあたる年であり、京都文化博物館では特別展「よみがえる承久の乱」が行われるなど、話題になりました。関東でも、栃木県立博物館での「長沼氏から皆川氏へ 皆川文書でたどるその足跡」展をはじめ、富士見市立難波田城資料館の「難波田氏とその時代」展、めぐろ歴史資料館「中世武士目黒氏の軌跡 列島を駆け抜けた武士たち」展など、承久の乱をきっかけに飛躍した氏族を特集した展示が行われていました。



 来年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は北条義時が主人公であるので、鎌倉時代をテーマとした企画展は、来年度さらに増えるものと思われます。

展示テーマ部門

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 今年訪問した展覧会の中でも、葛飾区郷土と天文の博物館にて行われた「戦国時代の漆器」展は、かなり攻めたテーマだと感じました。出土した戦国時代の漆器が全国から集められる貴重な機会に立ち会うことができました。

図録部門

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 今年購入した図録の中では、埼玉県立嵐山史跡の博物館にて行われた「実相忍びの者」展のものが読みごたえがありました。文書の画像にそれぞれ釈文が添えられており、解説文も言葉をつくして詳しく書かれていました。
 他の図録では、前述した栃木県立博物館「長沼氏から皆川氏へ 皆川文書でたどるその足跡」展も素晴らしかったです。報告書としての性格が強いものでしたが、文書の画像にそれぞれ釈文・読み下し・解説が付されており、大変丁寧なつくりでした。

大賞

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 今年一番印象に残った展示は、神奈川県立歴史博物館「早雲寺 戦国大名北条氏の遺産と系譜」展でした。北条氏の文化力や小田原から去った後の北条氏の動向、由緒の創出・保存活動など、早雲寺所蔵の資料から、新たな北条氏の一面を発見することができました。図録の内容も充実していましたが、文書に釈文が付されていなかった点が少しだけ残念でした。


 ブログ主の独断と偏見に基づき、勝手気ままに賞を選定しましたが、今年訪問した展覧会は、どれも面白く、勉強になりました。来年も今年のようにたくさんの博物館に訪れたいな…。

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称名寺仁王門(金沢文庫)

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