非城識人ノート

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中世武士目黒氏の軌跡 列島を駆け抜けた武士たち@めぐろ歴史資料館

先日、めぐろ歴史資料館にて行われた特別展「中世武士目黒氏の軌跡―列島を駆け抜けた武士たち―」を拝観しました。

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本展ポスター
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めぐろ歴史資料館入口

 本展は、目黒区ゆかりの武士目黒氏の日本列島における活動を追う展示でした。目黒氏は現在の目黒区にあたる武蔵国荏原郡目黒村周辺の武士とみられ、『吾妻鏡』に「目黒弥五郎」がみられました。その後、目黒氏は承久の乱後の西遷御家人として出雲国でも活動がみられます。また、南北朝時代以降には、陸奥国伊具郡島田村(宮城県角田市)に移り住んだ者もあり、伊達家に仕えた目黒氏に関する文書や兜の展示もありました。また、同じ陸奥国でも会津地方にも別の目黒氏一族がいたようで、伊達家による蘆名領侵攻に伴い、越後国魚沼郡(新潟県魚沼市)に移り住み、上杉景勝から盃を拝領する有力者となっていたようです。
 本展では、陸奥国越後国出雲国など、全国各地に散らばった目黒一族の数少ない資料を集めて展示しており、中世の戦争状況に翻弄され、各地に移り住んだ氏族の動向が窺えました。本展には図録があったのですが、閉館間際に拝観していたため、購入できませんでした(泣)。

 今回、初めて目黒区のめぐろ歴史資料館に訪問しました。同館は旧目黒区立第二中学校を利用した博物館で、外観も学校そのものでしたが、常設展示もこじんまりとしていながら、内容は充実したものとなっていました。特に「近世の目黒」ゾーンにおける目黒富士という富士塚で発見された胎内洞穴を実寸大で再現しており、様々な「謎」に関する解説がなされていたのが印象的でした。旧学校施設を利用した博物館でしたが、空調の管理などが徹底されており、展示施設として丁寧な改修がなされている印象を受けました。こうした事例の博物館としては、モデルケースになりうるものとして、学ぶ点が多かったです。

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めぐろ歴史資料館外観

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