非城識人ノート

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寺院が語る渋谷の歴史@白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

先日、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館にて行われた「寺院が語る渋谷の歴史」を拝観しました。

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本展ポスター
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白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

本展は、渋谷区内に所在する寺院が所蔵する資料・文化財を展示し、それら寺院の創建や由来、歴史について紹介するものでした.
1,渋谷の黎明と寺院の伝説 2,武家と寺院 3,地域の中の寺院 4,寺院で守られてきたもの という構成で展示が行われていました。

本展で印象に残った資料に、香林院所蔵の「松平真次像」がありました。松平真次は、徳川家臣で大給松平家の松平真乗の次男で、三河大給藩・奥殿藩を築いた人物です。香林院は、大給松平家菩提寺として寛文五年(1665)麻布小山に創建され、寛文8年(1668)の江戸大火により渋谷へ移転したそうです。香林院は、広尾駅の近くに所在しており、ブログ主も広尾周辺を歩いているときに、立派な門を持つ寺院があると認識していましたが、大給松平家ゆかりの寺院であるとは知りませんでした。

また、寶泉寺所蔵の「常盤薬師」という薬師如来像も、印象に残った文化財でした。郷土博物館・文学館の近くには、かつて常盤松という松があったといい、常盤御前に関する伝説が残されています。「常盤薬師」もこの常盤御前の伝説に関わるものでしょうか。

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郷土博物館・文学館の近くにある常盤松の碑
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常盤松の碑 解説

東福寺所蔵の「矢拾観音」は、源義朝に仕えた金王丸に関わるものと伝えられています。渋谷周辺には、源氏に関わる伝説が多く残されていますが、渋谷城を築いたとされる渋谷氏に関わるものでしょうか。東福寺は渋谷城跡として知られる金王八幡宮の隣に所在しており、ブログ主は恥ずかしながらその存在を知りませんでした。金王八幡宮別当寺として渋谷でも最古の寺院だそうですが、神仏分離令廃仏毀釈の影響はなかったのでしょうか。本展では、廃仏毀釈の影響については、触れられていなかったように記憶しています。

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金王八幡宮

渋谷はブログ主も頻繁に訪れる場所ですので、渋谷の歴史を実感できる資料や、今まで知らなかった寺院の存在を知ることができ、勉強になりました。

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