非城識人ノート

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鎌倉殿の宴のあと―伊豆山出土の中世土器―@熱海市立伊豆山郷土資料館

 先日、静岡県熱海市立伊豆山郷土資料館にて行われた企画展「鎌倉殿の宴のあと―伊豆山出土の中世土器―」を拝観しました。

同展チラシ
熱海市立伊豆山郷土資料館

 まず、伊豆山郷土資料館がとてもコンパクト!(失礼)企画展といっても、展示ケース2つ分ほどの小さいものでした。が、展示内容はとても良かったです。メインの展示品は伊豆山で出土した白色系かわらけ。白色系かわらけは、箱根神社三嶋大社伊豆の国市守山の北条氏館と伊豆山でしか出土していないと解説されていました。明らかに鎌倉幕府・北条氏ゆかりの場所!本展では鎌倉殿による二所詣との関連が指摘されていました。この白色系かわらけは、伊豆山のどこから出土したのだろう…。調査時の図面などが展示されていればなあ…。
 他にも青白磁の器やワラビ手文様の古瀬戸鉄釉四耳壺、白磁の四耳壺・青磁の八耳壺が展示されていました。どれも伊豆山との関連しているものでしょう。
 小さな資料館ですが、展示物は逸品。残念ながら北条政子が自らの髪を編み込んだという曼荼羅の現物は、公開期間が過ぎて惜しくも見られずでしたが、感動したのは伊豆山の経塚遺跡から出土した経筒の数々!永久5年(1117)の紀年銘も確かに読み取れました。また、天台思想の梵字最澄の著作から引用された墨書が胎内から出たという、男神立像・女神立像も展示されており、走湯権現における神仏習合が感じられ、ゾクゾクしました。伊豆山権現立像や木造宝冠阿弥陀如来像は、拝観時には神奈川県立歴博へ出張中だったので、見れなくて残念でした。

 資料館を見終えてから、伊豆山神社の裏山、伊豆山の本宮神社を登る道を歩きました。巨岩の上につくられた社殿をもつ白山神社は、とても神秘的な場所で、磐座への信仰が感じされます。近くには修験者の行場へ続く道もありましたが、蜘蛛の巣と藪が酷かったので断念。またいつかリベンジしたいです。

巨岩の上に建つ白山神社

 本宮神社へ参拝を終えて別ルートで下山しているときに、これまた神秘的な岩がありました。牓示岩のような…。

伊豆山神社の裏手の山中に立つ岩

 伊豆山神社へ戻ったあとは、更に参道をおりて海岸近くまで行きました。ここには走り湯という古泉があり、今も湯気がもくもくとしていました。

走り湯の入り口

 伊豆山は役行者が開いたという修験道の霊験の地とされ、『梁塵秘抄』にも記されているそうです。今も土砂崩れの復旧が続く伊豆山ですが、中世の痕跡は確かに残り続けています。

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