非城識人ノート

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中遠の古刹 真言宗西楽寺Ⅲ 年中行事@袋井市郷土資料館

先日、静岡県袋井市郷土資料館にて行われた企画展「中遠の古刹真言宗西楽寺Ⅲ年中行事」を拝観しました。

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本展ポスター
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袋井市郷土資料館

 袋井市春岡の古刹西楽寺が所蔵する古文書から、寺史を解説する全4回シリーズの企画展。今回拝観した第3回のテーマは「年中行事」で、近世後期の西楽寺で行われた行事や、江戸城で行われた儀礼について解説がなされていました。
 西楽寺の儀式書『年中行事扣』を丹念に読み解き、一覧表にまとめており、また西楽寺の公式行事ではない「馬とび」に関しても、他の資料から誕生の経緯を推測していました。また、西楽寺は5年に1度、江戸城への年頭挨拶を行っていましたが、その記録である『御年頭登城御礼記』や『年頭御礼勤番留記』(どちらも西楽寺文書)から殿中儀礼の様相・スケジュールや、購入品などの詳細を解説していました。
 本展は、西楽寺文書を丹念に読み解き、テーマ別に詳細な展示を構成しているため、寺の由緒形成や近世の寺院の在り方など、研究報告書としての価値も感じました。また、本展で配布されている展示解説や過去の展示解説も同館ホームページから確認可能であり、展示を拝観できない方にも親切な対応だと思いました。

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