非城識人ノート

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よみがえる中世のアーカイブズ@神奈川県立金沢文庫

先日、神奈川県立金沢文庫にて行われた特別展「よみがえる中世のアーカイブズ いまふたたび出会う古文書たち」を拝観しました。

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本展ポスター
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神奈川県立金沢文庫

 金沢文庫は、鎌倉幕府執権北条氏の一族である金沢北条氏の北条実時が、菩提寺である称名寺に隣接して創設された私設文庫であり、現在の神奈川県立金沢文庫は、先の文庫に収蔵された資料を核として、称名寺文化財等を収蔵する歴史博物館です。今回の展示では、鎌倉幕府滅亡後に、称名寺金沢文庫から流出した資料のうち、大阪青山歴史文学博物館が所蔵する称名寺旧蔵資料について、金沢文庫ゆかりの文化財を、県立金沢文庫保管の関連資料と一堂に集めて展示したものでした。
 展示では、金沢貞顕の書状や金沢北条氏一族の書状、また称名寺の聖教類を記した目録など、金沢文庫の豊富なアーカイブズの世界を堪能することができました。また下総国下河辺庄など、北条氏が地方にもつ荘園に関する裁判関係の史料など、支配に関わる文書も多く展示されており、神奈川県立金沢文庫と大阪青山歴史文学博物館の双方の資料をつきあわせることで判明する歴史に触れることができました。もともとの資料群のかたちを復元することや、資料群の散逸・流出の状況・書誌学的な復元の重要性を再確認することができました。本展の図録はひとつひとつに釈文がついており、充実していました(ブログ主は未購入)。

 神奈川県立金沢文庫は初めて訪問しました。金沢文庫の中世文書や称名寺に限定した県立博物館は珍しく感じました。称名寺金沢文庫の資料群の規模の大きさが推察されました。

隣接した場所の称名寺にも訪れました。発掘調査や「称名寺絵図」から復元された浄土式庭園が素晴らしく、鎌倉時代の息吹を感じられました。

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称名寺と庭園

 また、称名寺の後背の丘陵にある北条実時や北条顕時・貞顕の墓所にも参拝しました。金沢文庫称名寺は、鎌倉時代を感じられるスポットとして、とても満足できる場所でした。

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称名寺市民の森の八角堂からの眺望

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