非城識人ノート

日本の城、中世史、読書、思いつき…など

ゆきあたりばったり関西(2)

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2日目

そもそもこの旅は、博打のように始まった。

以前からオンラインで交流していた関西の城好き学生たちと、リアルで城を歩いてみたい。安易な気持ちで彼らを誘ってみたら、快く応じていただいた。だがその旅程に関して、すぐにこちらから提案をすることができなかった。

それは大学院の課題や職務をほったらかしにしていたからだ。これらを犠牲することに後ろめたさを感じていた。一方で、この窮屈な焦燥を少しでも解放したいという現実逃避の感情も芽生えていた。葛藤の末、後者が勝ってしまった。こうして逃避行が始まった。

 

2日目は朝から秋晴れだった。彼らとの城歩きは午後から始まる。午前中は前日の汚名を返上すべく、レンタサイクルで思う存分史跡を巡った。

本能寺跡、妙顕寺城跡を写真におさめ、二条城を横目に聚楽第跡地を放浪した。聚楽第跡は住宅街になっているが、自転車で回っているだけでも、確かに往時の痕跡を思わせる地形の高低差に出会う。大名の屋敷跡も聚楽第のすぐそばにあるものだ。

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本能寺跡
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妙顕寺城跡
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聚楽第跡(東)
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上杉景勝屋敷跡

西陣を確認したら花の御所も確認したくなる。その近くには京都御苑。蛤御門ではランナーがまじまじと銃弾の痕を見ていた。

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蛤御門
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京都御所

歴史の舞台の中に身をゆだねる。行った覚えのない史跡は、案外自転車でまわれてしまうものだ。また来た時も自転車を使おう。
賀茂大橋を越えると、学生の姿が多くなる。今日は百万遍知恩寺で古本市だそうだ。

京大キャンパスを突っ切ると、すぐ脇には吉田神社があった。こんなところに吉田山があるのかと、己の地理感覚が更新されていく。

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吉田神社

参拝を終えたら、メインディッシュの慈照寺へ。室町時代の東山文化の中心である。義政のお茶の井を見たのちは、展望所へ。吉田山が近くに見える。紅葉が色づきはじめ、なんともいえない風情に心洗われた。

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展望所より慈照寺を見る
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お茶の井

銀閣寺垣を抜け門前に帰ったが、西陣でふと目に入った、考古資料館の明智光秀の展示チラシが頭から離れなかった。もう一度今出川通に自転車を走らせ、資料館で展示を楽しんだ。これが無料とは。

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西陣の碑

今出川通を往復すると、正午を過ぎていた。百万遍で昼食を終え、いよいよ待ち合わせの慈照寺へ向かった。


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