非城識人ノート

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古文書あれこれ@内山真龍資料館

先日、静岡県浜松市立内山真龍資料館にて行われた常設展「古文書あれこれ」を拝観しました。常設展とはいえ、6月~9月までの限定開催でしたので、見に行きました。

同展ポスター
内山真龍資料館


今回の展示では以下の文書の展示が行われていました。
大谷村 内山家
・内山真龍自画像/文政2年(1819)※浜松市指定文化財
・詠書画(竹画讃)
・真龍日記/文化9年(1812)
・内山家小室系図
中村 中村家
・吉良義尚下文/永享7年(1435)※浜松市指定文化財
今川義元判物/弘治3年(1557)※浜松市指定文化財
・渡ヶ嶋百姓大坂陣軍役銭皆済証文/慶長19年(1614)
・覚 女通行手形/元禄6年(1693)
・阿多古川筋村絵図/寛政11年(1799)
鹿島村 田代家
・舟越免畠屋敷(川口村筏乗免屋敷畠帳)/天正17年(1589)※浜松市指定文化財
・北鹿島村五人組之事/文化4年(1801)※浜松市指定文化財
二俣村 米山家
・二俣村絵図/寛延3年(1750)ヵ
相津村 鈴木家
・相津村年貢皆済目録/文化6年(1809)

お目当てはやはり、吉良義尚の下文でした。吉良といえば三河国に拠点があるイメージですが、浜松庄も所領としており、遠州とも関わりの深い家です。内容は義尚が阿多古村の土豪中村家に所領の一部を給与したものでした。永享7年から土豪として現れる中村家という存在を知らなかったので、大変勉強になった。また、今川義元判物も先の吉良義尚の下文を踏まえて出されており、今川家の吉良家への意識もうかがえそうな文書でした。
また、渡ヶ嶋百姓大坂陣軍役銭皆済証文は、大坂冬の陣ごろの当地域の動向をうかがえる貴重な文書でした。またこの証文が宛先に送られずに地元に残っているということも興味深い点です。
天正17年の舟越免畠屋敷(川口村筏乗免屋敷畠帳)も存在を知らなかったので、勉強になりました。水上交通の要衝である当地域の特質がうかがえる貴重な史料でした。

同展チラシ

内山真龍資料館は初めて訪れました。展示室が二つと民家の野外展示のあるこじんまりした資料館ですが、所蔵しているものは興味深いものが多く、また遠州国学の浸透を知る拠点となっています。二俣城・鳥羽山城・笹岡城といった館周辺の城跡のジオラマも手作りで復元されており、城攻めの様子や、当時の地形・景観が伝わってくる展示でした。

内山家長屋門
資料館説明版

この資料館は内山真龍の生家跡につくられたらしく、入口には内山家長屋門が残されています。

資料館を見た後に、近所の清瀧寺に立寄りました。

井戸櫓

清瀧寺には、徳川家康の嫡男松平信康の廟がありました。

信康廟入口

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