非城識人ノート

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鎌倉幕府と執権政治@國學院大學博物館

先日、國學院大學博物館にて行われた、春の特別列品「鎌倉幕府と執権政治―國學院大學図書館の名品―」展を拝観しました。

本展ポスター

本展は、鳥羽天皇皇女八条院関係の文書史料や久我家文書などの國學院大學図書館が所蔵する資料の中から、源頼朝北条義時とその時代の一端を通観する展示でした。
本展の最初の見どころは、清盛の弟で平家一門とは一線を画した行動をとった頼盛の動向が、八条院関係史料や久我家文書からうかがえる点でした。頼朝は命の恩人である池禅尼の子頼盛に対して、没収した平家所領の一部を返付しており、頼朝の平家に対する処遇を考える上でも興味深い事例だと思いました。
また、承久の乱の頃の史料も展示されており、下知状や御教書・施行状など鎌倉幕府の発給した文書の種類やその比較ができる構成となっていました。執権北条義時が鎌倉殿の仰せを承って発給した関東下知状を受けて、義時の息子で六波羅探題の泰時が施行状を発給するというように、義時・泰時親子の活動を古文書学の視点からも楽しめる展示でした。
最後には、鎌倉幕府の歴史書吾妻鏡』研究の泰斗で、大正時代を代表する日本中世史研究者である八代国治の紹介もあり、著書『吾妻鏡の研究』の入稿原稿も展示されるなど、吾妻鏡ファン必見のものとなっていました。
本展では、図録(小冊子)も出されているほか、Youtubeでは特別解説の動画もアップされていました。ぜひご覧ください。
m.youtube.com

本展の図録(小冊子)

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